保険×テック:フランスのInsurTech動向と注目スタートアップ

InsurTech(保険×テック)のトレンドとスタートアップ AI
InsurTech(保険×テック)のトレンドとスタートアップを紹介

本記事では、欧州・フランスの保険×テック、つまりInsurTechのスタートアップやその動向を紹介します。

保険業界はテクノロジーを用いた変革が進んでいます

具体的には、DX(デジタルトランスフォーメーション)はもちろん、それ以外にも最適な契約内容のレコメンドや、契約書内の期限切れなどによる無効内容の自動検出などAI技術を活かした保険ビジネスが誕生しています。

さらに、これから主流になるであろうEV(電気自動車)に特化した保険や、スタートアップなど少ない従業員で構成される会社のための保険など、「特化型」の保険もトレンドと言えます。

以下、筆者が感じた保険×テック(InsurTech)の動向と、フランスのInsurTechスタートアップを紹介していこうと思います。

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近年、多くのInsurTech(保険×テック)スタートアップが誕生

書類作業が次々とデジタル化され、AIが活用される
書類作業が次々とデジタル化され、AIが活用される保険業界

保険業界は、DXの波を受けた一番大きな業界の一つなのではないでしょうか。

今までの保険業界は紙面上のやりとりが多く、まさにそれがデジタルに置き換わろうとしています。

契約書はもちろん、保険請求も全てネットを通じてできるようになり、ユーザにとっては非常に便利、ただし保険会社側は今までの営業や契約手続きが通用しなくなってきているので気が気じゃないはずです。

こんな背景なので、デジタルトランスフォーメーションやAI(人工知能)を用いた新たなサービスを保険サービスに付加するInsurTech(保険×テック)スタートアップが次々と誕生しています。

保険業界と言えば、伝統ある大手プレーヤーが牛耳る世界でしたが、今はそれが音を立てて崩れ落ちてきています。

フランスではInsurTechのユニコーン企業も誕生

デジタルトランスフォーメーションやAI化による変革期にいる保険業界、それを象徴するのがユニコーン企業の誕生です。

フランスでは、保険×テックにおいて、「Alan」と「Shift Technology」というスタートアップがユニコーン化しました。

Alan」は今までの任意保険ビジネスにDXでメスを入れ、巨額の資金調達に成功した、フランスでは有名なユニコーン企業です。

フランスでは、雇用主が従業員の任意保険加入を強く推奨されているため(会社が任意保険料の一部負担する。この負担額が福利厚生のバロメーターになっている)、新規参入が成功するとかなり多くの顧客を得ることができます。

Shift Technology」はAIを用いて、保険手続きにおける「詐欺」を検出するシステムを開発しました。

保険手続きは複雑故、詐欺に狙われやすいです。例えば煩雑な手続きにまぎれて情報を抜き取るなど、保険業界の大きな問題の一つになっています。

それをAIで解決する、現代らしいビジネスモデルです。

これら二つのユニコーン企業については以下の記事で詳しく説明しているので、興味のある方は是非ご覧ください。

InsurTechのトレンド

以下、筆者がInsurTechを調査していくなかで見つけたトレンドと、面白いスタートアップを紹介していきます。

保険契約書内容を確認 ⇒ 無効な保険を検出

書類文化が残る保険業界←DXやAIが活躍!!
書類文化が残る保険業界←DXやAIが活躍!!

上で紹介したShift Technologyもそうですが、保険の契約書や手続きをAIで解析し、間違いや無効な内容を検出する技術が一つのトレンドと言えます。

近年のディープラーニングによる自然言語処理の発達により、より高度な解析が可能になったため、このような技術が実現されたのでしょう。

以下、本トレンドに当てはまるスタートアップを紹介します。

期限切れ項目や、無効な賠償金をAIで見つけるContinuity

AIによって契約書の内容を解読し透明性を持たせるMinalea

最適な保険をレコメンド

生涯利用する保険、パイが大きいビジネス分野
生涯利用する保険、パイが大きいビジネス分野

保険の契約プランは多岐にわたり、さらに近年の働き方の多様化などにより、その複雑さが増しています。つまり自分にとって適切な保険を選ぶのにとても苦労します。

そこでAIの活用です。

自分の条件や希望を入力することで、AIが最適な保険をレコメンドしてくれます。

技術的には簡単かもしれませんが、ユーザにとってはありがたいですね。

会社情報やリクエストを入力するとAIが保険を自動選定+Simple

保険のレコメンデーションは、AIの活用に絞らなければ日本にも当然存在します。

月々の保険料はばかになりません。しかも生涯払い続けると考えると・・・とんでもない金額になりますよね。

若干InsurTechの話からそれてしまいますが(笑)、保険の見直しは早ければ早いほど良いので、以下のような相談をまずは受けることをオススメします。
(AIではなくプロによるレコメンドですが、ユーザからしたらむしろプロの方が信頼できるので(笑))


保険相談をもっと身近に保険コネクト

特化型保険:少人数の会社・スタートアップに特化した保険

これから流行る?特化型保険ビジネス
これから流行る?特化型保険ビジネス

近年、ますますスタートアップや小さな会社が増えています。

それに伴い、保険もそういった会社形態に合わせた保険プランを用意し始めています。

以下のスタートアップ・Assurupは、スタートアップのための保険を提供する、超特化型の保険ビジネスです。

こういった、「超特化型」の保険ビジネスモデルは今後流行るのではないかと、個人的には予想しています。

日本にもフリーランス特化型の保険がある

この特化型保険モデルは日本にも存在します。

特に需要の高い、フリーランスに対する保険を提供しているのがFREENANCE(フリーナンス)です。

フリーランスは現代の理想の働き方として人気ですが、一方で、仕事中の事故や納品物の欠陥を原因とする事故は基本的にすべて自己責任というリスクが存在します。

そのようなリスクを取り除くべく、このFREENANCEは、無料で口座を開設するだけでフリーランス特化型の損害賠償保険「あんしん補償」が 全ユーザーに自動付帯されます。


無料で登録するだけで、最高5,000万円の損害賠償が付く!

車(EV:電気自動車)関連の新しい保険

自動車関連(特にEV)の保険×テック
自動車関連(特にEV)の保険×テック

EU諸国を中心に、現在、車業界はEV化が急速に進んでいます。それに伴い、車の保険も変革期にあると言えます。

以下、自動車、特にEV(電気自動車)関連の新しい保険を提供するスタートアップを紹介します。

EV(電気自動車)に特化した保険を用意するInspeer

EVはバッテリーを積んでいることや、部品が従来の車とは大きく異なることから、故障の症状や原因も変わります。つまり、車の保険もアップデートが必要です。

以下、紹介しているInspeerはEV特化型でビジネスをしています。

車の使用頻度から保険料を決定するWilov

さらに、EV化により電化製品と化した自動車はシェアリングサービスとして利用されることも増えてきています。そういった新サービスに対してもやはり保険が必要になります。

以下のWilovというスタートアップは車に貼ったシール型センサとアプリから車の利用頻度を記録し、必要最低限の保険料だけを請求するサービスを展開しています。

まとめ

本記事では、フランスの保険×テック、つまりInsurTechのトレンドとスタートアップを紹介しました。

私自身、フランスに住んでいて、フランスは特に契約書文化が強いので、それだけデジタルトランスフォーメーションやAIによる文章解析のインパクトが強いと感じています。

一方で、保険は当然、フランスに限ったことではなく、全ての国に存在しているので、これからもInsurTechをウォッチして、本ブログで紹介していこうと思います。

筆者プロフィール
この記事を書いた人

フランス在住(現地採用)。工学博士。移民。
大学時代から人工知能・コンピュータビジョンの研究に従事し、現在までにディープラーニングを用いたCT画像中の肺結節の悪性判定システムや、車載センサーデータにおける認識処理を用いた自動運転システムの開発を遂行。

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