本記事ではフランスの注目スタートアップの一つである、Ornikarを紹介します。
この会社のメッセージは「運転免許取得プロセスに革命を!」。とにかく安く運転免許が取得でき、またオンライン化することで、スキマ時間の効率的な学習・運転講習の受講を可能にしました。
以下、このOrnikarの特徴を解説していきます。
フランスの注目スタートアップ・Ornikar
この会社は運転免許を格安で取得できることを可能にするサービスを立ち上げて、現在、フランス内で注目のスタートアップとして認識されています。
かれらの目標としては、運転免許取得の市場の20%取得を目標に掲げており、現在従業員数も100名を超えて、勢いよく成長しています。
さらに、運転免許取得だけでなく、レンタカーや自動車保険サービスなどへの展開も目論んでおり、仏スタートアップ業界のランドマーク的存在になっています。
圧倒的に安い価格
最初の特徴として挙げられるのは「圧倒的な価格設定」でしょう。フランスでも道路交通法の学習と、運転の実技の二つに合格する必要があるのですが、まず道路交通法学習の価格は従来の10分の1、運転の実技講習は従来から35%安くなっています。
- Code de la route(道路交通法の学習):29,90 ユーロ(従来の10分の1)
- 運転の実技講習:749 ユーロ(従来の価格よりも35%安い)
運転免許の取得は工学ですが、以下にも説明する、オンライン化(デジタルトランスフォーメーション)することで上記の価格を実現しました。
以下のビデオはこのOrnikarで免許を取得する流れをまとめています。フランス語の説明なので詳細まで理解するのは難しいですが、イラストベースなのでなんとなく理解できるのではないでしょうか。
オンライン化で運転免許取得プロセスにメスを入れる
定番と言えば定番ですが、既存のプロセスをオンライン化・デジタル化、つまりデジタルトランスフォーメーションすることで圧倒的な価格を実現しています。
道路交通法の学習がスマホで可能
例えば道路交通法の学習では教材が全てオンライン化され、スマートフォンでも学習が可能になり、スキマ時間を有効に利用することを可能にしました。
例えば以下のような動画を見ながら、道路交通法および運転のルール等を学びます。これならスマホでも学習できますね。
運転講習はオンラインで予約可能
また、運転講習の講師の予約もオンラインでできるようになりました。さらに、講師の予約に関しては、個人事業主の(つまりフリーの)講師も予約対象に含まれており、ユーザはより安く、フリーの講師もアプリによって仕事が得られる仕組みを作りました。
運転講習は日曜日の7時~23時でも受講可能
ヨーロッパでは日曜日には多くのお店が閉まり、休日出勤なども日本より圧倒的に少ないです。その中で、日曜日を、しかも7時~23時という時間帯にサービスを運営するのは、めずらしいです。日曜日は家族と過ごす文化が広く行き渡っているヨーロッパですが、潜在的にはやはり日曜日も何かの時間に充てたい、特に運転免許を取得したい若者はそう考えるはずです。そういった今までの文化と逆行するような、潜在的なニーズに応えるのもこのスタートアップの上手い所だと感心してしまいます。
多くのメディアにも取り上げられ、高評判
(特に道路交通法の学習は)従来の10分の1の値段、というのはインパクトが強いようで、フランスの国営放送・フランス3や、報道メディアのBFM TVといった大手のメディアからも取り上げられています。
また、テレビCMも打っています。つまり既に資金もあるし、積極的に成長していく姿勢が見えますね。
有望なスタートアップとして仏政府の支援政策French Techにも選出
このOrnikarは、フランス政府主導のFrench Techという団体のNext40/120というが有望なスタートアップを選び、支援するプログラムに選ばれています。
このプログラムはフランスのスタートアップ界隈には一つのベンチマークになるほど有名なもので、これに選ばれることで注目度がぐっとあがります。
以下、French TechのNext40/120について書いた記事なので、併せてご覧ください。
Ornikarはユニコーン企業ではないものの、フランスの有望スタートアップを特集している記事にかなりの頻度で登場します。
既存事業態を壊し、DXで革新を起こす、そしてまだまだスケール出来るスタートアップなので、今後の展開も注目です。ちかい将来、ユニコーンの仲間入りもあるかも?
まとめ
自動車学校はまだまだアナログなビジネスをしているというのが筆者の印象ですが、それゆえデジタルトランスフォーメーションしたときはインパクトが大きいのでしょう。「運転免許取得にはお金がかかるのは仕方ない」という、従来の流れを根本的に見直すことで大きな成功を達成する良いモデルケースであると思います。
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