本記事では、北欧・フィンランドのIoTスタートアップが熱い理由と、現在注目のIoTスタートアップを紹介します。
結論から言うと、Nokiaの血統を受け継ぐエンジニア+政府直営の研究機関が積極的に民間企業と関係を築いているという理由で、かなり多くのIoTスタートアップが誕生しているようです。
それでは以下、より詳しく説明していきます。
スマホでの敗退、その後のNokia(ノキア)

かつては携帯電話市場でかなりのシェアを誇っていたフィンランドを代表する企業・Nokia(ノキア)、機能はもちろん、そのシンプルかつ独特なデザインから多くのファンを抱えていました。
しかし、スマートフォンへシフトする段階で大きく出遅れてしまい、携帯電話事業はマイクロソフトに約54億ユーロで売却されてしまいます。
さらにその後、マイクロソフトもスマホ市場で勝機を見い出せず、多くの元ノキアのエンジニアを含めた大量リストラが起きてしまいます。
このストーリーは破壊的イノベーションの代表例として今も語り継がれています。
リストラによって流出した元ノキアのエンジニアが各方面で活躍

このノキアの携帯電話事業売却+マイクロソフトのスマホ市場での敗北によって、多くの従業員がリストラされました。その数は1万8000人にも上ると言われています。
そのうち元ノキアの従業員は1万2500人含まれていたそうです。
(その後もリストラは続いたため、実際にはもっと多くの人が職を失ったはずです)
しかし、そこは一時代を築いたノキアの優秀な従業員、特にエンジニアは通信機器の開発スキルを活かして現在は様々な会社、分野で活躍しています。
その活躍の場の一つが「IoT(Internet of Things:モノのインターネット)」分野です。
前置きが長くなりましたが、フィンランドで現在、IoTビジネスが盛り上がっている理由の一つはこれです。ノキア出身の優秀なエンジニアが市場に解き放たれたことによります。
政府直営の研究機関と民間企業の良い関係

IoT分野を含めた、フィンランドでスタートアップ全般が盛り上がっているもう一つの理由は、フィンランド政府直営の研究機関が民間企業と良好な関係を築いていることです。
具体的には、国立研究所であるフィンランド技術開発センター(通称VTT)が、
研究所で行われている最先端の技術を民間企業が実際にサービスや製品としてどのように現場に落とし込むか
https://ameblo.jp/yuta-ashita/page-12.html
という課題意識を持って、研究所と民間企業の橋渡し役を買って出ているからです。
また、予算面でも、短期的な利益に振り回されずに、長期的な投資を心掛けているとのこと。
筆者自身、企業の研究所に在籍している経験から、製品開発部隊との関係や、長期的な投資がいかに大切か、研究者のモチベーションを上げるかを理解しています。
この戦略が国単位で取れるフィンランドは素晴らしいです!
これは間違いなく、スタートアップが盛り上がっている理由の一つと言えます。
結論:優秀なエンジニア + 政策 = スタートアップの盛り上がり

上で述べた理由をまとめると、
- 元ノキアの従業員を中心とした優秀なエンジニアが市場に出回ったことと、
- フィンランド政府の方針(研究機関と民間企業の良好な関係性構築)
この二つが上手くマッチしたことで、現在のスタートアップの躍進が作られたと言えます。
特に、ノキアのお家芸だった通信技術はIoT分野でその力を発揮して、多くのIoTスタートアップが誕生しています。
手に職を付けていることの大切さ
それにしても、自分も含めてエンジニア視点で考えると、IoT・通信技術の経験やスキルのように、手に職を付けているというのは、リストラのような状況になっても引く手あまたなのですごいですよね。
さらにIoT市場は日本および世界的に間違いなく伸びていく市場なので、エンジニアの価値も上がっていくはず。
皆様ももしこれから何かスキルを身に着けたいと思ったら、IoTや通信技術は一つの候補になるのではないでしょうか?
以下のウズウズカレッジは未経験からIoTエンジニアを目指せるコースが用意されています。こういった講座を上手くつかって将来、価値のあるエンジニアを目指してみてはいかがでしょうか?
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フィンランドの注目IoTスタートアップを紹介

それではここから、フィンランド発の注目IoTスタートアップを紹介します。
(企業の選定は、筆者の独断と偏見で行われました)
MoveSole:靴底IoTセンサで予防医療を実現
フィンランドのオウル市発のIoTスタートアップ・MoveSoleは、靴底のインナーソールとして装着可能なIoTソールセンサとそれを活用したヘルスケアソリューションを提供しています。
「歩く」という行為は日常に溶け込み過ぎて、歩き方を意識する人は少ないと思いますが、実はこれがすごく重要。歩き方が悪いせいで腰痛や病気の原因になるとのことです。
このMoveSoleは歩き方を解析し、改善することを目的としています。
この記事はMoveSoleのデバイスや特徴について詳しく解説しているので、興味のある方は是非ご覧ください。
QuietOn:ノイズキャンセリング耳栓
フィンランド発のスタートアップ・QuietOnは、質の高い睡眠を実現するためにノイズキャンセリング耳栓を開発しています。
具体的にはアクティブノイズキャンセリングという技術が耳栓に搭載されており、それによって収音した音を分析⇒その反対の音の成分でキャンセルする、という仕組みです。
クラウドファンディングでも大きな金額を集めており、注目の高さを表しています。
Nukute:無呼吸症候群を診断する睡眠用IoTデバイス
Nukuteは睡眠時に装着するIoTデバイスを用いて、睡眠時のデータを収集・分析、そして以下のような症例を検出することができます。
- 無呼吸症候群
- ぜんそく
- 慢性閉塞性肺疾患
- 成人呼吸窮迫症候群
デバイスとしても以下の写真のように大袈裟なものではなく、違和感なく睡眠を取ることができます。
以下の記事でNukuteに関して詳しく説明しています。
Veri:ウェラブルデバイスで血中のグルコース濃度をリアルタイム測定
フィンランドのIoTスタートアップ・Veriは、血中のグルコース濃度をリアルタイムで測定してくれるウェアラブルデバイスを開発。
これを使えば、生活習慣(運動、睡眠、食事)からパーソナライズされた血糖レベル解析を行うことができ、さらに健康状態に合った食事をレコメンドしてくれます。
IoTとAIのスキルはこれから間違いなく需要が高い
言わずもがなですが、上で紹介したIoT技術や、その裏で動いているデータサイエンス・AI技術はこれから益々需要が高まります。
上でも述べましたが、例えばNokiaのエンジニアは手に職を付けていたため、リストラ時でも路頭に迷うことなく、むしろ新天地で活躍しました。
これからエンジニアを目指す方はもちろん、IoTやAIに興味のある方は、その技術を学んでおいて損はありません。たとえ既に管理職に就いている方でも、その概要だけでも学ぶことで仕組みをより深く理解でき、部下とのやり取りも円滑になると思います。
これを機に新たなスキルを身に付けてみてはいかがでしょうか?
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筆者も使っているオンライン講座・Udemy。
これは好きな時間にオンラインビデオで受講できるので忙しい方にもオススメ。
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まとめ
これから(もう既に?)盛り上がるIoT市場、現在、そのトップを走る国の一つであるフィンランド。本記事ではそのフィンランドのIoTスタートアップの盛り上がりの理由と、注目スタートアップを紹介しました。
ちなみに、他のヨーロッパ諸国でもIoTスタートアップは増えており、様々な分野で業務効率化ならびにデータ収集・解析が行われています。
モノづくりが得意と言われている日本も、その強みを生かして日本でも多くのIoTスタートアップが誕生してほしいですね!
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