本記事では、フランスのスタートアップ事情をお伝えします。
本ブログでも既に紹介していますが、フランスはFrench Techというスタートアップ支援政策や、
インキュベーション施設のStation F、
さらに大統領が自らSNSでスタートアップを応援するなど、
まさに国を挙げてスタートアップを応援しています。
国を挙げたスタートアップ支援
現在、フランスはスタートアップ界隈がかなり盛り上がっています。
実際に数年の間に多くのユニコーン企業が誕生しています。
人口が日本の半分ほどしかないフランス、それでもこれだけの結果が出ている理由はなんでしょうか?
それは国をあげてのスタートアップ支援が原動力となっていると私は思います。
本記事では以下、今フランスで実施されているスタートアップ支援政策等を紹介します。
マクロン大統領自らSNSでスタートアップ情報を発信
ビジネス系SNS・LinkedInにて、フランスの大統領・エマニュエル・マクロン氏が以下のような投稿をしていました。
この投稿は、フランスに新たにユニコーン企業が誕生したことの告知です。実際には、以下のようなコメントをしています。
Notre nouvelle licorne français nous vient de Monpellier !
https://www.linkedin.com/feed/update/urn:li:activity:6853318974092931072/
= 新しいフランス・ユニコーン企業がモンペリエ(フランス南部の都市)からやってきた!
日本でも政治家がこういったニュースを発信していると思いますが、トップオブトップの大統領が、このテンションで告知するのは、やはりスタートアップ界隈の人たちは盛り上がりますよね!
この投稿では、さらに以下のように続けています:
les startups ne sont pas que parisiennes : elles créent de l’emploi partout sur le territoire.
= (フランス発の)スタートアップはパリだけじゃない:国内の至る所で雇用を生んでいる
Il y a 4 ans, Swile n’existait pas encore : son objectif est désormais de doubler ses effectifs d’ici fin 2022 et d’atteindre les 1000 salariés. Quelle trajectoire !
= 4年前、Swile(新しいユニコーン企業の名前)は存在していなかった、それが今や2022年末には1000人の従業員を抱えようとしている、なんて躍進だ!
関係者ならびにその界隈の人、さらに国民を奮い立たせるようなコメントですよね。
スタートアップ支援政策・French Tech(フレンチ・テック)
大統領個人の発信だけでなく、政策としてもスタートアップ支援するものがフランスには用意されています。
一番大きく、多くの支援策の母体となっているのが French Tech(フレンチ・テック)というものです。
このFrench Techは2013年に、フランス政府によって設立されました。
この政策によって、フランス発のスタートアップを応援・支援するだけでなく、海外からのスタートアップを誘致することも行っています。
具体的な内容は上の関連記事に記載しましたが、支援を受けるためにビジネスコンテストがあり、それに通過すると様々な助成金(国外のスタートアップにはビザの発行なども)が受けられます。
さらに、審査に通過したスタートアップの中でも特に有望な企業を選ぶプログラム・「Next 40/(FT)120」というものもあります。
これに選ばれることはつまりユニコーン予備軍と認定されることであり、大きな影響力を持つことができます。
近年は環境問題・SDGs関連のスタートアップ支援策が充実していきている
また、このFrench Techから派生した様々な支援策も存在します。
例えば、環境問題に取り組むスタートアップを選ぶ、「French Tech Green 20」というサブプログラムができました。
ここで選ばれている企業は、例えば、植物から栄養価の高い食品を作り出す企業であったり、CO2や温室効果ガス排出量を見える化する企業などです。
上の関連記事で具体例を挙げているので是非ご覧ください。
世界最大級のインキュベーション施設・Station F
スタートアップ支援策の一つとして、リアルな場所、インキュベーション施設も用意されています。
規模は世界最大級、その名も「Station F」。
写真のように大きな建物の中に数多くの企業が並んでいます。スタートアップ支援ということで、若い企業が多いですが、イノベーションを目指す大企業も入居しています。
世界中の起業家を集めたオープン・イノベーションの場
また、上のFrench Techでも述べたように、フランスは国外からのスタートアップも誘致しているため、このStation Fは世界中から起業家が集まる施設と言えます。
世界中から集まった精鋭達が、施設内の至る所で企業間の垣根を超えたディスカッションを行っています。
皆で切磋琢磨してアイデアを磨いています。まさにオープン・イノベーション。
スタートアップ・エコシステムが実装されている
さらに、入居者の中にはVCファンドや行政機関も含まれており、このStation F内でビジネスが一通り完成するエコシステムが設計されています。
国からの金銭的な支援だけでなく、このように実際にスタートアップエコシステムが実装されている場所が、実際にスタートアップの中の人には一番嬉しいかもしれませんね。
まとめ
本記事ではフランスのスタートアップ支援について紹介させていただきました。
私自身、フランスに住んでおり、スタートアップの盛り上がりは肌で感じていますし、界隈の人との垣根を超えたディスカッションや起業までのスピード感、つまりオープン・イノベーションとスタートアップ・エコシステムを目の当たりにして刺激を受けています。
これらの仕組みは近年構築されたばかりなので、これからのフランスの更なる活躍が楽しみです。
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