昆虫が地球を救う?昆虫食でSDGs(環境・食糧不足問題)に取り組む

環境・食糧問題を解決する昆虫食【SDGs】 SDGs
環境・食糧問題を解決する昆虫食【SDGs】

最近、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量を抑えつつ、たんぱく質等の栄養価が高い昆虫食がペットフードに使われ出しました。

昆虫食といえば、テレビのバラエティー番組で使われるイメージが強いですが、
実は、昆虫食は環境問題・食糧不足問題を解決するカギとなるフードテックです。

本記事では、このビジネスを展開するスタートアップの台頭や実際に販売されている昆虫食ペットフードを紹介します。

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地球に優しい昆虫食

動物の肉よりも高たんぱく質の昆虫食
動物の肉よりも高たんぱく質の昆虫食

昆虫食というと、テレビのバラエティー番組の罰ゲームでタレントが食べさせらるもの、とか、珍しい食べ物という認識の方が多いと思うのですが、近年は環境問題を解決する食料として注目されています。

具体的には、昆虫食には以下の点でメリットがあります。

昆虫食のメリット①:タンパク質等の栄養価が高い

昆虫食はたんぱく質等の栄養価が高いことで有名です。

つまり、動物の肉の代替品として利用できるポテンシャルを秘めていると言えます。

動物の肉は、動物保護の観点や、(下でも説明していますが)製造過程における温室効果ガスの排出量の問題から、長い間その代わりになるものが求められてきました。

化学的な手法でタンパク質を生成する方法も開発されましたが、安全性を危惧してなかなか広まらないのが現状です。

そんな中、安全、且つ、高たんぱく質な食料として昆虫食が注目されてきました。

まだ一般的には馴染みが薄いかもしれませんが、例えば、昆虫食を開発するスタートアップは多くの資金を調達しており、その注目度を物語っています。
(下で昆虫食を開発するスタートアップを紹介します)

昆虫食のメリット②:製造過程における温室効果ガスの排出量が抑えられる

温室効果ガスの排出が問題になっている畜産業
温室効果ガスの排出が問題になっている畜産業

動物は飼育期間中に二酸化炭素を含む温室効果ガスを大量に排出します。

これは当然、地球温暖化の原因になっており、例えばオランダ政府は、家畜の30%削減を目標に掲げているほど。畜産業者は当然、いい気持ちはしないことは想像に難しくないですが、それだけ深刻な問題であると読み取れます。

一方、昆虫食は製造工程において、温室効果ガスはほとんど排出されません

例えば、コオロギとエンドウ豆のたんぱく質からプロテイン食品を開発販売しているINNOCECTでは、動物と昆虫の製造工程における違いを以下のように説明しています。

参照:高栄養価次世代タンパク質【INNOCECT】


ここで述べられているのは:

  • 温室効果ガスの排出量は昆虫のほうが圧倒的に少ない
  • 飼育に必要な水やエサも昆虫のほうが圧倒的に少ない
  • 100gあたりのたんぱく質量は昆虫の方が多い

このデータにより、昆虫食がいかに環境に優しく、且つ、(タンパク質量の観点から)動物の肉の代わりになりえるポテンシャルを持っているかがわかると思います。

食糧不足問題解決のカギ

食糧不足問題を解決できる?昆虫食への期待
食糧不足問題を解決できる?昆虫食への期待

2050年までに世界人口が90億人に達すると見られており、それに伴い、食糧不足の深刻化が懸念されています。

SDGsでもこれを重大な課題と位置付けており、目標の一つに以下を掲げています。

SDGs目標2:飢餓をゼロに

https://sdgs.edutown.jp/info/goals/goals-2.html

現在、世界では約6.9億人が飢餓に苦しんでいるとのことです。この数字は、世界人口の11人に1人。この数字を見れば、食糧不足問題は、現在でも既に深刻な問題であることがわかります。

この目標「飢餓をゼロに」の具体的なポイントは:

  • 全ての人に安全で栄養のある食料を確保
  • あらゆる形の栄養不足を解消する
  • 持続可能な農業を進める

これらのポイントを鑑みて、上述した昆虫食のメリットを照らし合わせると、昆虫食がなぜ注目されているかがわかると思います。

栄養のある食料(高蛋白質)、且つ、持続可能な農業(環境に優しい)に直結する昆虫食は、まさにサステイナブル食品と言えます。

つまり、昆虫食は食糧不足解決のカギとなると言えます。

サステイナブルな食品開発を行うフードテックが増えている

近年、フードテック(「フード(Food)」+「テクノロジー(Technology)」から生まれた造語)が一つのバズワードとなっています。

平たく言えば食品加工技術ですが、近年の環境問題意識、SDGsへの関心から「新しい」食品加工技術がフードテックとして注目を浴びています。

以前から、食品加工技術は大量生産、効率化のために使われてきたのは皆様もご存知だと思いますが、最近では以下のような目的のために使われるようになってきました。

  • フードロスを無くす
  • 人間にとって安心・安全なものを使用して食品を作る
  • 地球に優しい食物の生産

つまり、SDGsが掲げる目標に直接アタックしていくような目的に切り替わりつつあります

以下の記事でフードテックとサステナビリティの関連性をまとめてあるので、興味のある方は是非ご覧ください。

昆虫食を開発するスタートアップが大型資金調達

Startup
多くのStartupが誕生しているフードテック分野

上で説明した通り、昆虫食の注目度は増していて、実際に、以下の、昆虫食を開発しているスタートアップは大型資金調達に成功しています。

以下、注目スタートアップを紹介します。

昆虫からスナック菓子を作る Small Giants

タイトル通り、昆虫からスナック菓子を作るスタートアップ・Small Giants、最近、大型資金調達に成功して注目を浴びています。

昆虫を材料とすることで、製造過程での温室効果ガスの排出が大きく抑えられるというのは上で説明した通り。

さらに、出来上がったスナック菓子はプロテインが豊富なようで、つまり体に良い、健康サステイナブルフードと言えます。

昆虫食のペットフードを開発する Orgafeed

人間だけでなく、ペットフードでも当然、サステナビリティを考えなければなりません。

このOrgafeedはペットに対しても昆虫食を使った、栄養価が高く、且つ、環境に優しいペットフードを提供しています。

そもそもペットフードはランクや鮮度の低い肉などが使われているため、栄養面で言えば昆虫食のほうが優れているかもしれません。

コオロギからプロテイン食品を製造する CricketOne

コオロギから良質のプロテインを搾取し、クッキーなどの食品を製造するCricketOne。

また、プロテインの質だけでなく、コオロギは食品として長い歴史を持っているため、安全面を強調しています。さらに、上の説明と同じく、牛の飼育と比べるとエサや温室効果ガスの排出など圧倒的にコオロギが少なく、究極のサステイナブル食品だと主張しています。

日本発の昆虫食スタートアップ・INNOCECT

上には欧州のサステナビリティ+フードテック事例を紹介しましたが、日本にもこの分野でスタートアップが誕生しています。その名もINNOCECT

INNOCECTはコオロギとエンドウ豆のたんぱく質からプロテイン食品を開発・販売しています。


高栄養価次世代タンパク質【INNOCECT】

このINNOCECTは、昆虫食を感じさせない加工やパッケージを採用しています。
つまり、テレビで見るような昆虫の形は残っておらず、言われなければ昆虫食とわからないほどです。

例えば以下はコオロギとエンドウ豆のたんぱく質から作ったチョコレートバーです。


INNOCECT:クリケットプロテインバー(チョコレート)

おしゃれなデザインで、全く昆虫からつくられたことがわかりませんよね?

また、同じくチョコレートバーですが、抹茶味も出ています。食べやすそう。


INNOCECT:クリケットプロテインバー(抹茶)


さらには、プロテインパウダーを配合したコーヒーも販売されています。

コーヒーは香りも強いし、本当に昆虫食というのを忘れてしまいそうですね。


INNOCECT:クリケットコーヒー


地球温暖化、気候変動(異常気象)など、身近に感じる今こそ、このようなサステイナブルな商品や食品を利用するところから、地球に対するアクションを始めてみてはいかがでしょうか?

まとめ

パリ協定やCOP26など、環境保全や脱炭素に関する世界的に大きな会議が開催され、また日本も2050年までにカーボンニュートラルを達成すると宣言し、環境問題もはや身近な問題と考えざるを得ない状況です。

本記事で紹介した昆虫食は、我々の生活にインパクトを与えるフードテックであり、誰でも始められる環境問題へのアクションと言えます。

バラエティー番組で見るような、見るからに昆虫食!というものではない、上で紹介したようなお菓子やコーヒーといった飲み食いしやすい形にパッケージ化されているので、皆様も昆虫食から地球温暖化防止の第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか?

筆者プロフィール
この記事を書いた人

フランス在住(現地採用)。工学博士。移民。
大学時代から人工知能・コンピュータビジョンの研究に従事し、現在までにディープラーニングを用いたCT画像中の肺結節の悪性判定システムや、車載センサーデータにおける認識処理を用いた自動運転システムの開発を遂行。

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