本記事では、欧州のSDGsへの取り組み:European Mobility Weekを紹介します。
20年の歴史を持つこの取り組み、毎年9月16日~22日の一週間、
「モビリティ(移動手段・サービス)」に関する様々な取り組みで排気ガス・温室効果ガスの削減に取り組み、人類・地球の問題解決に挑みます。
以下、European Mobility Weekとは何か、どんな目標を設定しているか、具体的にどんな取り組みをしているかを紹介します。
さらに記事の後半では、ヨーロッパのスマートモビリティについても紹介します。
European Mobility Weekとは?
このEuropean Mobility Weekは、欧州のコミッションによる、サステイナブル・モビリティ(持続可能な移動手段・サービス)のキャンペーンとして企画されました。
具体的には、以下の点を促進させるための活動です:
- モビリティ(特にエコな移動手段)を広める
- 公共交通機関の利用
- クリーン、且つ、インテリジェントな移動のためのソリューション
20年の歴史があるイベント
2002年にキックオフしたこの取り組み、今年で20年を数えます。
毎年、9月16日~22日はこの取り組みが欧州各国、各都市で行われます。
(具体的な取り組みは後半で紹介します)
私自身、モビリティという言葉を意識しだしたのはここ数年ですし、モビリティとサステナビリティの関連性については考え出したのはもっと最近です。
しかしヨーロッパ諸国は20年前からこのようなことを考えていたんですね・・・意識高い!
参加国は52ヵ国、参加都市は3004都市にものぼる

表題の通り、今年の参加国は欧州を中心に、世界中から52カ国、3004都市が参加しているとのことです。
(”European” Mobility Weekですが、世界中から参加できるようです)
日本も8都市参加しています。具体的には、福井、神奈川、奈良、大阪、豊橋、横浜、逗子、木更津が参加しているとのこと。
それぞれの都市が、Car-Free Day(車を使わない日)や他の活動を通じて取り組んでいます。
今年のテーマは:

毎年開催されるこの取り組み、毎年テーマが設定されます。
今年(2021年)のテーマは以下の通り:
Safe and Healthy with Sustainable Mobility.
https://mobilityweek.eu/home/
(安全と健康を持続可能なモビリティで)
また、上の画像にもあるように”Move Sustainably, Stay Health”というメッセージもあり、これもテーマなのでしょうか?
いずれにしても、安全、且つ、健康で、サステイナブルなモビリティが目標となっています。
テーマに「Health」が含まれるのはCOVID-19の影響
今年はCOVID-19(新型コロナウィルス)の影響もあり、「Healthy」という言葉がテーマに入っています。
それゆえ、このEuropean Mobility Weekのマスコットもマスク着用・・・

パーソナルモビリティ(電動キックボードや電動自転車など)は密を避けられるという意味で、それを利用すること自体が感染症予防対策にもなります。
しかし、公共交通機関は複数人数の利用が避けられないので、マスク着用や、人との一定の距離を保つなど、新しいルールができつつあります。
今回のコロナを受けて、さらに活発に議論が行われていることは間違いないでしょう。そして、このような取り組みを続けていくことで、最終的に良いソリューションが生まれるでしょう。
欧州全体の目標:2050年までに温室効果ガス排出量を50%削減
ヨーロッパ全体の、温暖化対策の目標の一つに、以下のものがあります:
移動に関わる温室ガス排出量を2050年までに50%削減する
この目標はまさに、このEuropean Mobility Weekの取り組みに直結するものです。
自転車での通勤・通学、公共交通機関の利用を通じて、個人レベルでも行動することを呼びかけ、欧州全体でこの目標を達成しようとしています。
European Mobility Week:各国・各都市の取り組み
ここから、European Mobility Weekの各国、各都市の取り組みを見ていきたいと思います。
まず、実際に行っている取り組みのほとんどは、「自転車での通勤・通学」の推奨です。非常にシンプルな取り組み、ですがこれが一番、みんなが実践しやすい活動です。
スロベニア観光局
例えば以下はスロベニア観光局のツイートです。
Mobility Weekの開始に合わせて取った通勤・通学手段のアンケートを取り、モビリティの利用を呼び掛けています。
この取り組みのために大規模なシステムを導入するのは本末転倒になりかねない(余計なエネルギーの消費、CO2の排出につながる可能性がある)ので、あくまでもできる範囲で日常を少し変えるアプローチなのでしょう。
フランス・ヴァルボンヌ市
次にフランスのある都市での取り組みを紹介します。
上のツイートの街ではイベントとして、自転車を使うことの重要性、環境・社会問題へのインパクトを紹介する映画を無料公開しています。
さらに、学校には特設駐輪場を設けて、父兄が自転車で来た子供達に参加証を配るような活動もしています。
オランダ・「Low Car Diet」コンペティション
コンペティション形式の取り組みもあるようです。
このコンペは、一か月の間、ガソリン自家用車ではなく、自転車、電気自動車、公共交通機関で何キロ移動できるかを競うものです。
IBMやアクセンチュアなど名だたる企業から、7000人もの参加があるのだそう。一大イベントですね。
フィンランド・Cargo Bikeの無料レンタル
また、ちょっとユニークなものとして、Cargo Bike(台車付き自転車?)の無料レンタルイベントも開催されているようです。
ヨーロッパでたまに見かけるCargo Bike、たくさんの荷物の他に、子供を乗せて走っていたりします(ちょっと危ない気もしますが)。
Cargo Bikeも使ってみれば車の代わりになるでしょ?とユーザに気づかせることを目的としているのでしょう。
ヨーロッパとは言え、近未来なモビリティがどこにも設置されているわけではありません。
ですので、誰でも使えるモビリティは自転車、もしくは公共交通機関です。
一方で、自転車で参加できるイベントであれば、みんなが参加できるとも言えます。全員で地球を守っていくという意識を植え付ける取り組みなのでしょう。
ヨーロッパのスマートモビリティ

ここで、ヨーロッパで展開されている“スマート”モビリティについて少し紹介したいと思います。
上のように、既存の自転車や公共交通機関もモビリティですが、もう少し高度(スマート)な、モビリティとして、まずはフランスのNAVYA社を紹介します。
フランス・NAVYA
フランスのNAVYA社は自動運転のNavet(シャトルバス)を開発しています。
シャトルバスなので、決められたルートの走行ではありますが、行動を自動運転で、つまりドライバーレスで、乗客を目的地へ届けることができます。
このNAVYA社のシャトルバスは日本をはじめ、世界中で使われています。
フィンランド・MaaSアプリ「Whim」
次は、モビリティ本体ではありませんが、サービスの例として、北欧フィンランド発のMaaSアプリ「Whim(ウィム)」について紹介します。
WhimはMaaS Global Oy社より提供されているサービスで、1つのアプリでバス、タクシー、ライドシェアなど様々な交通手段を組み合わせて、最適な移動体験を提供するサービスです。
上の記事は、Whimのより詳しい説明と、実際に使ってみた様子が書かれているので、興味のある方は是非ご覧ください。
欧州全体・シェアリング電動キックボード
ヨーロッパの多くの都市では乗り捨て自由なシェアリング電動キックボードが設置されています。
それらはアプリをダウンロードし、少しの設定をすればすぐに乗り出せます(初めて使う場合でも1分程度)。乗り方も簡単。
サービスを展開しているスタートアップは複数あり、まだどの企業が大手と言える段階ではありませんが、以下の記事で紹介しているLimeは最も大きく、広くサービスを展開している企業の一つです。
この記事では、アプリのインストールから乗り方、支払い方法、実際に使ってみた様子を細かく説明しているので、興味のある方は是非ご覧ください。
まとめ
本記事ではヨーロッパを中心に、今や世界中で行われている取り組み European Mobility Weekについて紹介しました。
モビリティと聞くとなんだかセンセーショナルなイメージですが、実際は我々が普段から使っている自転車や公共交通機関、最近だと電動アシスト自転車も含まれます。
これらの利用を促進する取り組みであり、難しいことはありません、だれでも実践できます。
みなさんも明日から少しずつ意識・実践し、地球の未来ために行動してみてはいかがでしょうか。
(決して大袈裟ではありませんよ)
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